子が20代の初めに大病を患い、身近な50代女性がふたりも亡くなると、無事にその歳になれるのか...とさえ思えてしまう。人生100年時代かぁ... 今日は57歳で亡くなった娘のお姑さんの話を少しだけ。
彼女にお会いしたのは... 結婚前の顔合わせ(両親と本人たちのみ)の席と結婚式、そして娘の手術立ち会いの時の3度だけ。それほど短いお付き合いになってしまいました。東京の料理屋さんで初めてお会いし、小柄でとても優しそうな方でした。「自分にもしものことがあったら、このお義母さんに娘のことを託したい」そう思っていました。(後遺障害と背中合わせの病気なので...自分のもしもを考えてしまいます)
結婚して2年後、娘は遠方で手術となった。
お義母さんは飛行機で遠くの病院まで会いに来てくださった。娘は、お義母さんに手術(後遺症)にまつわる意見をあおいでいたようで... 手術中「あの答えで良かったのかどうか...ずっと考えていました。」と想いを語ってくださった。2日ほど滞在したのち、自宅に戻った直後から体に異変を感じたようです。
検査の結果は、膵臓がん。肝臓への転移もみられ、ステージは、すでに4bの状態でした。以前、娘たちが帰省した折「年々、元気になってるみたい...」と、お義母さんは言っていたくらいで...まさか病気が潜んでいたとは誰も思いませんでした。それくらい自覚症状がなかったようです。
娘は、その時の手術から3ヶ月後、また別の病院でも手術を受けた。お義母さんは自身の治療途中に立ち寄ってくださった。嫁をささえる立場から、自分自身が闘う(いのちと向き合う)立場へとなり、表情はけわしく、激しい心の動揺があったことがうかがえました。彼女にとって死はずっとずっと遠いものだったと思います。
ネット上には癌に効くとされる様々な情報が溢れています。もともと食材に気を使われていたお義母さんは、糖質制限などの食事制限を徹底するようになっていきます。
ケトン食で癌が消えた!など、信憑性がどこまであるのか疑わしい情報もあります。ただでさえ体力が落ちた末期の癌患者さんが食事制限をやってしまうと、見る見る痩せてしまい闘う気力さえ保てなくなります。お義母さんは、わずか一年で亡くなってしまいました。
膵臓がんステージ4bで4年2ヶ月 生きた患者さんのご主人が綴ったブログがあります。
腹水が溜まれば...終末期と思いがちですが、40回処置をしています。
*どんなことが、こういう驚くべき経過につながったのでしょうか...
● このご主人の存在があったから(情報収集を任せられる安心感)
● 患者本人がネットの情報を全く見なかったこと
● ご主人のブログを通じた患者家族との質の高いやりとり
● 患者本人が好きなものを食べていること
● どんな状況でも一緒に出掛けてくれる友だちがいたこと
● 家族の本気度が医療チームに伝わったこと
この患者さんの場合は、体調の良い日には友人とショッピングに出かけ、家族と鰻や焼き肉を食べ、お孫さんと楽しい時間を過ごし、良い時間をもてた気がします... 時系列に表示された治療経過を見ると、辛いことばかりのように感じる方もいるでしょう...リアルタイムでブログを拝見していた身としては、ただただ凄いのひと言です。
治療をするにしても、しないにしても、ためになる膵臓がんのブログです。
お義母さんは最期に「優しくあれなかった...」と言い残しています。人に優しくあろうとした人でした。自分が究極の状況に置かれてはじめて、いろんな感情がうまれたのだと思います。麻央さんも、同じような感情を綴ったことがありました。そして、本当の優しさは果てしなく難しいものだと気付いたのだと思います。
写真のひまわりは、夫のマラソンにお伴して見つけました。1本だけ曇り空に向かって咲いていました。姉が桜の季節に亡くなり、もう初夏のひまわりが咲いている。早いものです。